和食ワールドチャレンジ2013

和食ワールドチャレンジ2013 優勝者が決定!

和食ワールドチャレンジ2013は、12月8日決勝審査会を開催し、シンガポールで寿司割烹「Santaro Japanese Restaurant」を経営するリー・ウォック・ウィン氏を全出場者の中で最優秀と認めて「金賞」を授与した。

リー氏は中国広東省出身。和食一筋40年の大ベテランだ。1973年、文化大革命の渦中にあった中国本土を離れ、香港に移り住んだ。
そこで偶然得た仕事が、日本料理のレストラン。先輩職人に料理と日本語を一から教わり、素材そのものの味を引き出す和食の調理法に感銘を受けた。現在の店名「Santaro」はその頃に付けられたリー氏の愛称に由来する。80年にシンガポールに移住。寿司・懐石店で働いていたころ、料理人・道場六三郎氏の「銀座ろくさん亭」で研修を受ける機会を得たことがリー氏にとってさらなる飛躍への転機となった。

決勝審査会の後に農林水産省講堂で開催された表彰式に臨んだリー氏は和食ワールドチャレンジ実行員会委員長の茂木友三郎・キッコーマン名誉会長から記念のトロフィーを渡され、「素晴らしい機会を与えてくださった皆様に感謝します。健康で素晴らしい日本料理を世界に広めたい」と喜びを語った。

リー氏が評価されたポイントは「日本人にとっての和食を高いレベルで再現していることに驚いた。一生懸命に働き、勉強してきた姿勢も伝わった」(決勝審査の審査員を務めるアイビー最高顧問の熊谷喜八氏)。応募作「栗南京雪中蒸し」についても 「カボチャという食材を主役にそえたことで、日本料理のやさしさを表現できている。 日本料理を長らく見つめてきた人ならではの食材選びだった」 (決勝審査の審査員を務める「龍吟」シェフの山本征治氏)と決勝審査を担当した5人の審査員たちから高い評価を得た。


優勝者に送られる「金賞」を獲得した
リー・ウォック・ウィン氏

リー氏の応募作品
「栗南京雪中蒸し」
 

決勝進出者の顔ぶれ

決勝進出者の顔ぶれ

決勝進出作品

ジェフ・ラムジー ウォニ―・リー

37歳 男性 アメリカ合衆国
寿司シェフ、メニューコンサルタント
料理名:「お茶漬け-巻物」
魚、だし、麹と塩麹、昆布、海苔で何層にもわたる旨味を作り、ぶぶあられが香ばしい風味をそえて、旨味をさらに引き立てます

32歳 男性 アメリカ合衆国
「Hamasaku Los Angeles」エグゼクティブ・シェフ
料理名:「豆腐とマグロのタルタル イカスミと海苔のビネグレトソース」
豆腐、マグロ、アボカドはどれも高たんぱく低脂肪の食品です。マグロとアボカドにはオメガ3脂肪酸も豊富に含まれています
キム・ハヨン パク・ゴンウ

34歳 女性 韓国
服部栄養専門学校学生
料理名:「アマダイを載せたお茶漬け」
低カロリーだけど栄養価の高いメニューです

35歳 男性 韓国
辻調理技術研究所学生
料理名:「松の実豆腐 鳥清汁仕立」
会席料理の椀物としてもいいし、単品でもいい。鶏と朝鮮人参、ナツメで取った汁と健康的な豆類を集めた豆腐を入れた保養料理です
マーク・タイ・クワン・チン リー・ウォック・ウィン

41歳 男性 シンガポール
シンガポール日本人会館内「茜レストラン」料理人
料理名:「鰤大根の茶わん蒸し 湯葉餡かけ」
油を一切使わない方法で調理し、湯葉を仕上げに使うことで、さらにヘルシー感を加えました

60歳 男性 シンガポール
「Santaro Japanese Restaurant」オーナーシェフ
料理名:「栗南京雪中蒸し」
かぼちゃは肝臓や腎臓の機能回復に役立つと言われています
ラワタワッタ・ウィダナ・カンカナムラゲ・ルウィンダ・ジャヤウィ・ラワタワッタ ジャラン・ディプフアク

31歳 男性 スリランカ
「リゴレット バー アンド グリル」料理人
料理名:「海老とアボカドの湯葉真丈揚げ マンゴーチリソースがけ」
海老を具に、野菜もたくさん使用しました

40歳 男性 タイ
「大阪料理 菜の花」料理長
料理名:「とうもろこしまんじゅう 舞茸餡かけ」
タイで年中出回る食材で日本人、タイ人共に「おいしい」と思っていただける薄味の健康食を表現しました
マオ・ユーミン ロブレヒト・ウォルタース

24歳 男性 中国
「RIVIERA松鶴楼」料理人
料理名:「鮭ジャガイモまんじゅう」
鮭を骨から皮、カマや身をすべて使っているため、海のミネラルを豊富に取れる料理です

41歳 男性 ベルギー
「KO'UZI sushi & fine foods」オーナーシェフ
料理名:「豚ヒレ肉の味噌ダレ 蕎麦茶とカカオスパイス」
ビタミンBたっぷりの豚肉の中でも低脂肪・低カロリーのヒレ肉を使用。真空パックで調理することで旨味を閉じ込めています

和食ワールドチャレンジサポーターズ


 

和食ワールドチャレンジについて

和食ワールドチャレンジは、日本料理に携わる人で日本以外の国籍の持ち主であれば誰でも参加できる日本料理のコンペティションです。それぞれの国で腕を磨いてきた料理人が、オリジナルの日本料理メニューを競います。

ご存知ように日本食の人気は世界中で高まっています。海外の日本料理店の数は、わずか3年で2倍近くに増加しました。和食ワールドチャレンジは、各国・各地域で日本料理に取り組む優れた才能を発掘し、日本料理の魅力をさらに世界に広げていくことを目的にしています。

いまや海外の日本料理店の8割から9割は、日本人以外が経営していると言われます。そうした店の多くは、比較的低価格で楽しめる日本料理を提供し、現地の人たちの支持を集めています。ある国の食と食文化が海外に広がるときには、現地マーケットの嗜好に合わせたアレンジメントを加えた大衆的なレストランの存在が欠かせません。その意味で、日本料理は多くの国で、日常的な食のシーンに組み込まれ始めたと言えるでしょう。

その一方で、日本料理がさらに世界に広がっていくためには、乗り越えるべき課題もあります。それは日本における西洋料理の歴史をたどってみれば明らかです。かつてフランス料理は、多くの日本人にとって人生の記念日など特別な機会にしか味わえないものでした。その代わりに、西洋料理をベースにして日本人の口に合うようにアレンジを加えた西洋風の料理を、私たちはデパートの食堂や街の定食店で楽しみました。

そうして海外の味に徐々に慣れていった日本人の舌が次に求めたのが本格的な西洋料理でした。そして、それを提供したのが、フランスやイタリアなどに出向き、現地で修業を積んだ後に帰国した日本人料理人たちです。高級ホテルのフランス料理店のように堅苦しくない、手ごろな価格で、しかし、しっかりとした本場の味を楽しめるレストランが次々と誕生し、日本人の食生活に大きな変化をもたらしました。

日本人だけで海外に日本料理を広めていくのには限りがあります。いま以上に、日本料理の素晴らしさを世界中の人々に知ってもらうには、その国の消費者の嗜好を知る現地出身の料理人の存在が欠かせません。和食ワールドチャレンジが応援するのも、そうした日本料理の伝道者たちです。世界のさまざまな場所で、腕を磨き、よりおいしい料理を提供し、一人でも多くのお客さまを喜ばせようと努力する人たちを見出し、彼ら彼女らが次のステージに登るのをサポートをします。

これまでに世界21の国と地域からエントリーいただいた106の料理メニューを一次審査し、その中から10人を決勝進出者に選びました。この10人は12月8日に開催する決勝審査で自慢のメニューを披露します。決勝審査会および、その後の表彰式には海外各国メディアをお招きします。また決勝進出者には日本料理の名店で一流の料理人と交流を深めながらの食事の機会を授与します。

主催:和食ワールドチャレンジ実行員会・農林水産省
後援:日経BP社

和食ワールドチャレンジ実行委員会(五十音順)

実行委員長 茂木 友三郎

キッコーマン
取締役名誉会長
取締役会議長
 
大会アドバイザー 風戸 正義

ワールドスシカップジャパン大会会長/
一般社団法人国際すし知識認証協会 理事長
辻 芳樹

辻調理師専門学校校長
服部 幸應

服部栄養専門学校校長
村田 吉弘

「菊乃井」代表取締役
決勝審査委員 石田 稔

織田調理師専門学校 校長
熊谷 喜八

アイビー最高顧問
ジョエル・ブリュアン

フランス料理アカデミー日本支部会長/
NPO法人レ・ザミ・ドゥ・キュルノンスキー・ジャポン名誉会長
二宮 くみ子

特定非営利活動法人
うま味インフォメーションセンター 理事
村山 剛史

織田調理師専門学校
調理技術部 日本料理
山縣 正

全国すし商組合連合会会長/「都寿司」
山本 征治

「龍吟」シェフ
 
一次審査協力 辻調理師専門学校
 

審査・表彰

1次書類審査(終了)

所定の応募フォームの記載内容を辻調グループの日本料理の専門家が書類審査および試作審査し、決勝進出作品を選出。日本料理らしさ、おいしさ・美しさ、オリジナリティー、テーマ(健康)との合致度などに基づき、採点しました。

決勝審査

12月8日に厨BO!SHIODOME(http://eee.tokyo-gas.co.jp/chubo-sr/)(東京・港区)で開催します。決勝進出者自らが調理した料理を審査員が外観試食審査します。

表彰式

12月8日18時、農林水産省7階講堂(東京都千代田区霞ヶ関1-2-1)で開催します。
審査会において最も優秀と認められた人を金賞、その他の参加者を奨励賞として表彰します。

問い合わせ先

washoku-question@nikkeibp.co.jp