3.だし・うま味について

日本料理の味わいの基本は、うま味にあります。うま味は従来知られていた甘味、酸味、塩味、苦味の4味とは別の味蕾がキャッチする第五の味であることが発見されています。 うま味は食欲をそそる味で、時には風味や肉のようなコクの様なものとして説明されており、 20世紀初頭に日本の化学者池田菊苗氏によって特定された基本的な味です。

だしのうま味は日本料理の根幹となる重要なもので、うま味を抽出するために、日本では昆布や鰹節をつかってうま味の成分だけを取り出す「だし」の抽出の技術を500年ほど前から実践してきました。 日本料理にとって、昆布に含まれるグルタミン酸と鰹節に含まれるイノシン酸の二つが合わさる事で、相乗効果となり、だしのうま味を引き立たせます。このだしは最も基本であり、油を利用しない日本料理の核になるものです。

フランスのブイヨンや中国の湯のように、抽出方法は異なっても、だしは長年料理の基本として世界で使われてきました。 現在では、日本のだしの抽出方法を身につけた海外のシェフが、ブイヨンの中にうま味食材を活用してオリジナルのだしを作り出す例も多くみられています。 さらに、現在ではうま味成分が抽出出来るだしの素材となるトマト等の野菜は世界中にあり、新しいだしの可能性は広がり続け、新しい料理を作る上で無限の可能性を持っています。