6.日本の四季と食材
伝統的日本料理は日本の自然、四季の美を料理を通して表現してきました。
最もおいしく、栄養価が高い旬の食材を取り入れ、食材の彩を通して四季の変化を身近に感じる事も、日本料理の魅力といってもよいでしょう。
<春>
春は芽吹きの季節です。たけのこ、ふきのとう、菜の花等の新芽や、一寸豆やえんどうまめ等の豆類を使います。
魚では、桜鯛やあぶら目鰆等がこの季節の旬となります。
写真があぶら目の煮物椀です。
鮮やかな緑は萌えいずる春の季節を表しています。新芽の緑の色が目に飛び込んできます。
<夏>
夏は太陽の季節です。日本は蒸し暑いので、涼しさが感じられ夏の自然の美しさを表した彩の料理を提供します。
夏は多くの夏野菜が旬を迎えます。例えば、瓜の仲間である胡瓜、南瓜、冬瓜などは体を冷やす効果があるため、夏の暑さでほてった体を冷ますのに絶好の食材となります。また、ビタミンCを多く含む茄子の仲間である、トマトなども挙げられます。
魚では鰻、鮎、鱧などもあげられます。
<秋>
秋の色づきは、自然にも料理にも見られます。秋は食材の豊かさを感じます。
さつまいもをはじめ、いも類は夏の日差しをうけ、栄養分を蓄え、でんぷん、ビタミンCが豊富に含まれます。
果物では、ぶどう、梨、くり、柿やりんごなどの果物がこの時期に旬を迎えます。
さらに、秋に旬を迎えるものとして松茸、しめじ、えのき、舞茸など多くの茸があげられます。
魚では秋に脂がのっておいしくなる鮭やサンマが旬を迎えます。
<冬>
外が暗く寒い冬は、大根や蕪、人参、ごぼうなどの根菜等の食材を使った料理で冬の暖かさを演出します。
また、白菜、葱等の葉物野菜も厳しい寒さによって甘味を増して食材その物が美味しさを増します。
果物では、柑橘類のみかんやレモン等が収穫されます。
魚介類では、ブリにアンコウ、蟹や牡蠣、河豚などが旬を迎えます。
世界の中でも季節を通して豊富な食材があり、日本で流通している野菜は約150種。魚介類、海藻類 などの海産物も世界でもまれに見る種類の豊富さを誇ります。
このように、日本料理は自然の美を料理で表現し、旬を意識して、季節の食材の味わいを大切にすることを中心に発展してきたのです。
日本料理について詳しくは「日本料理大全」よりご覧いただけます。