4.日本料理に大切な五法・五味・五色・五感
日本料理を調理する上で大切な事は、五味・五感・五色・五法と言われています。
季節や食材の調理法、見た目の美しさやお客様の好み、もてなしの心と感謝の気持ちなどの全てがうまく融合し、お客様に満足を演出する事が料理人として大切な事です。
●五法
五法は「生」(切る)、「煮る」、「焼く」、「蒸す」、「揚げる」の5つの基本の調理法のことです。
基本的な会席料理では、これらの調理方法で作られた料理として、「生(切る)」刺身、「煮る」煮物、「焼く」焼き物、「蒸す」蒸し物、「揚げる」揚げ物を提供します。
「生(切る)」
日本料理では特に重要視されます。それは刺身をはじめ生で食べるものが多いという日本料理の特徴の現れでもあります。刺身を引くためには、熟練した庖丁さばきが求められ、料理に季節感や華やかさを添える飾り切りも切る技術が必要になります。また、食材によっては、お客様がより食べやすいように切る事も、料理人の技術といえます。
「煮る」
材料を「だし」や水、調味液の中で加熱して素材を食べやすく、(消化しやすく)柔らかく、おいしく変化させる調理法です。
「焼く」
素材を直接火に当てて加熱調理するもの、あるいは鍋やフライパンで油を加えて間接的に加熱して調理するものです。
「蒸す」
容器の中で水蒸気を循環させて素材に熱を通す方法で、日本料理では蒸すという調理法を利用した料理は非常に多く、いろいろな目的、形態で変化に富んだ蒸しものが作られています。
「揚げる」
油脂を媒体として素材を加熱する調埋法で、140℃~210℃という高い温度の調理のため、素材の旨みを逃がさず、短時間で急速に火を通すことができます。
●五味
五味には、「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」「うま味」があります。
「甘味」と「酸味」と「塩味」 には、単一の味しか感じませんが、「苦味」には、多くの味に違いがあります。例えば、チョコレートの苦味と玉ねぎの苦味に違いがあるように、そして五番目の「うま味には、代表格が昆布に含まれるグルタミン酸ですが、別々の成分であるが鰹節や、乾燥シイタケ、貝類からも多くのうま味が抽出できます。また、うま味は日本料理の最も大切なだしの原点の味でもあります。
●五色
日本料理は、調理や盛り付けに5つの色を大切にします。
その色は赤、黄、青(緑)、白、黒の五色で、日本料理の盛り付けの素晴らしさはこの五色を使って表現しています。赤と黄色は暖色系の色で食欲を増し、青は清涼感を感じさせ、白は清潔感を感じさせ、黒は料理を引き締める色と言えます。
盛り付けには、器の色を考え料理を盛り付け、添えられる葉や花などの演出も含め、見た目の料理の美味しさを五色の視覚的な要素を加え、食事の視覚的な楽しみを増やします。
●五感
五感とは、「視覚」・「聴覚」・「嗅覚」・「触覚」・「味覚」のことを指します。
私たちはこの五感を使って美味しさを判断しています。大切な事は料理は味だけで決まるのではなく、視覚の見た目の美味しさや、聴覚による自然界の音や食材を噛んだ音で、期待感や美味しさを感じ、香りによって季節を感じ、口に入れ、噛んだ触感で美味しさを感じ、料理を食してを美味しい料理を味わうといことで、料理の美味しさは、五感を駆使して味わいを感じるのです。
その為にも、料理を作る者は、色々な事を考えそして、料理を創りあげることが大切です。料理を創るとは、いかに食べ手側の思いを読んで作り上げるということであり、日本の「おもてなし」と言えるのです。